過ぎた25日の我が家の長い一日を書くことにします
何時も通りの朝 子供達を起こす前に 犬達の散歩とドッグランへの入れ替えを行い
馬達に草を配り 大ちゃんの保育所用のお弁当を作り始めた頃 ブライトヒルのいななきが…
窓から見える木陰で アブを追い払いながら立っている姿が見えました
他の馬達は アブが出てくる時間なので とっくにシェルターに戻っている様子
出て行って見ると…
右後ろに擦り傷 左後肢 球節が不自然に外に曲がっています
歩かせてみようとしますが 全く動けません…
これは脱臼? 何れにせよ自分一人では対応できないと思い
急いで遠方の仕事先の旦那に電話 写真を転送
装蹄中の手を止めて 旦那がくれた電話は
『脱臼だな~~~ダメかもしれん…写真をhig先生に転送したから
この装蹄終わらせて 直ぐに戻るから』
何が起きているのか理解するのに困りましたが 今出来ることを考えて
草を刈って食べさせ 取り合えず子供達を送り出す準備で家に戻ろうとすると
ブライトヒルがいなないて 自分を呼び止めようとしていました…
出掛けようとするコウキにブライトヒルの様子を伝えました
『ジョッキー(ブライトヒル)が肢を傷めて動けない 今からお父さんと日高に運ぶけど
もしかしたら もう家に帰ってこれないかもしれないから 頭撫ぜてやってから行って』
バタバタとお弁当を作り 大ちゃんを送り出す仕度をしていると
暫しブライトヒルの所にいたコウキが戻ってきて
『アブが酷くて可哀想だから 早く何とかしてあげて』と…
どんどん気温も上がり始めて 幸い日影にいるとはいえアブが増え始めていて
急遽 大きなバスタオルを首と越に紐で固定してお腹の下を守りましたが
時間なので 兎に角急いで大ちゃんを保育所に送り出して応急処置
防風ネットで身体を包んで 側の青草を沢山刈って前に置くと
モリモリ食べるブライトヒル…痛みが酷くないのか? 汗もかいて無いし
勝手に 意外と症状は軽いのかな? と一瞬楽観…
発見した頃より 支えている右後ろ肢が腫れて来ました
周辺を確認して いったい何処でどうなったのか 痕跡を探しましたが
それらしき場所は見当たりません
動けないのだから 事故現場はこの周辺に間違いないのに…
旦那が帰ってくるまで 長かったような短かったような
取り合えず他の馬達の装蹄を待っていただくことにして
やりかけていた馬だけ装蹄を終わらせて 2時間近い道のりを急いで帰ってきた旦那
道中 馬運車も借りる手配をして 4トンに乗って帰ってきて
そのまま放牧地のブライトヒルの前まで乗り付けます
3本肢で果たして 高低差の大きな登坂版を上がれるのか?
簡易のギプスを当てながら 旦那がこう言いました
もしレントゲンを撮ってダメなら ここで安楽死をしてやろうと思ったけど
写真を見たhig先生が 『お金と時間が掛けれるなら 早く連れてきて下さい』
と連絡下さったそうで 一筋の光が射しました
hig先生なら きっとなんとして下さる! と連れて行くことを決めて
自分が前を行き 旦那が気合で掛け声を…
ドタドタと乗り込むブライトヒル
良かった!
旦那は直ぐに日高に向けて出発
自分は 他の馬達の世話を最低限で終わらせて 乗用で後を追いました
三石の家畜診療センターまでは 約2時間
http://drhig.blogzine.jp/equine/
何度か旦那に電話を掛け 様子を聞きました
馬運車の中で 直ぐにhig先生がレントゲンを撮って下さいました
ブライトヒルの顔色も悪くなく 自分達は顔を撫ぜながら結果を待っていました
でも やはり 3本肢で立っているのは辛そうに見えました…
直ぐに結果が出て 呼ばれました
脱臼などではなく 最悪の事態になっていました
粉砕骨折 助けようが無いとの事でした…
『手術でボルトで留めてギプスで固めてみることは出来ますが これだけの骨折だと
酷いことになって激痛の中で馬がかわいそうです
もっと酷い骨折の馬を手術したことがありますが 骨が固まって生きながらえる事は稀で
馬は痩せて不幸なことになります』
決断をする時が来ていました
一度は苦渋の決断で 『安楽死をしてやってください』と言った旦那
ブライトヒルの元に戻って 人参をボリボリ食べている顔を見て
『こんなに食べているのに…なんとかならんのか!』と
再びhig先生の元に走って ドアの向こうに姿を消しました
それまで 自分の手から丸ごとの人参をガリガリ食べていたブライトヒルが
ピタリと口を止めて 旦那が消えていった扉をじっと見つめていました
それは まるで
『お父さんは きっと僕を助けるようにhig先生にお願いしに行ってくれている』
そう信じているような顔でした
待っていると長いように感じられましたが 話しが終わり旦那が出てきました
旦那が手に持っている人参を差し出すと ボリボリ食べるブライトヒル
答えは
今 ここでの安楽死をお願いしました
旦那としては 応急処置で連れて帰って
ギネスたちの居る 仲間の居る我が家で眠らせてやりたい…と
それが最後の願いだったのですが
時間が経てば どんどん激痛で苦しむのはブライトヒル自身であり
自分は ブライトヒルがこんなに食べれて良い顔をしていられる間に
眠らせてやる方が望ましいと思いました
日本一の馬の名医 hig先生がここに居られて 麻酔薬を準備して待っていて下さって
ブライトヒルは 信頼する旦那が側にいることで安心していて…
悔しくて悔しくて ブライトヒルの首に抱きついて大泣きする旦那
『お前のお陰で 俺の人生が変わった ありがとう…』
家族に迎えて10年…自分達一家の歴史そのものだったブライトヒル
今朝 この子に何が起きてこうなったのか…
何も整頓して考える間もないまま 決断を迫られて
自分が 『大量に麻酔を使ってください 不安を感じずに 眠るように逝かせたいです』
hig先生が『このまま手術できるくらい効いていますよ…』との事でした
骨折で 寝たら2度と起きれないと思ったのか
麻酔の後も暫く立ったままでしたが
やがて横たわって 追加の麻酔も穏やかな顔で受けました…
2011年7月25日 午後1時50分
ブライトヒルは ピクリともせず眠るように旅立ちました
助けてあげられなかったけど 楽にしてやることは出来ました…
『ジョキー またな!』
旦那が首をポンポンと叩いてお別れでした
自分はホルターを外して 撫ぜながら直ぐ上の火葬場まで一緒に乗ってお別れしました
火葬場では 手際よく天井からのチェーンで吊りながら降ろされ
自分は 鬣を頂いてそのまま帰りました
今から 焼却炉に入れるのに小さく解体されます
ハースは死因を見るのに立ち会いましたが
ブライトヒルは綺麗なままお別れすることに…
旦那は残って hig先生に骨折の場所を切って見せて頂いたそうです
帰り道 思い出やらなにやらで涙が溢れて 何度も前が見え無くなって
ガソリンが無いことに気がついて 給油しながら旦那に電話したら
『今から丁度若馬の去勢手術やるらしいから 見学して帰るネ』 とのこと
切る前に お互いに 『じゃあネ 気をつけて運転して…』と…
大樹まで戻って来て 犬や猫達のフード類 大ちゃんのお弁当のおかず
コンビニで買い物して出ようとしたら 旦那の運転する馬運車が~~~~
あれ~追いつかれた~~~同時に帰宅
馬運車を掃除して お礼持って返却してきて
自分は残していた家の仕事や世話を始めました
帰ってきた旦那と 今日何度も出た言葉は
『あの肢 何処でやったんだろう…』
旦那もあちこち確認して帰ってきましたが 解りません
ミザルーを引っ張ってきて 削蹄を始める旦那
次々に何かをしていないと 頭が真っ白になりそうな日
ロープにでも引っ掛けて 転んだ拍子に? 寝返りで柵に?
右後ろの擦り傷は結局は大したものではなく
骨折していた左は 傷も見当たりませんでした
hig先生は 『そんなレベルでここまで折れません 余程の力が加わらなければ…』
そう仰っていましたが それらしき現場は特定できませんでしたし
家の設備を良く理解していたし ロープや牧柵がどこにあるかも
十分理解していたブライトヒル
若馬でもなく大概のことには冷静で 古馬で十分に骨は強いし
朝の明るい時間 入れ込む姿も暴れる場面も見ていませんし
何処で何が起きたかも理解できない状況…
ハースの時は 場所は特定できましたが
何が起きてあんな結果になったのか分からないまま…
ブライトヒルは 何処でやったかも解らないまま…
なぜ?
思いもしない結果になりました…
アクシデントが無ければ まだまだ命は在った馬かもしれませんが
廃用になって 直ぐに家畜商に出されて
翌日に引き取りに行って…あれから10年
ブライトヒルは旦那と色んな目標を達成してくれました
馬への固定観念も 人生観までも変えてくれた馬
旦那は右腕をもがれたような寂しさだったと 無念だったと思います…
ただ 今は
起きてしまったことに対しては 精一杯の事が出来たと思っています
馬を相棒にすることは 自分達にとっては 最期まで見守る事
ブライトヒルには 心から感謝しかありません
この場所を新天地として住処にした時
教訓とした詩がありました
『馬の祈り』
馬と関わる 全ての方へ読んで頂きたいです
http://www4.ocn.ne.jp/~kodou/shinkokyu/shinkokyu.html
お知らせ
コメント いつもありがとうございます
とても嬉しく拝見しています
申し訳ありませんが 返信はしていませんのでご了承下さい
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どうぞ よろしくお願いいたします!!!
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